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【滞在255日目】「食」という現実

僕はあと2週間程で、牛肉工場での仕事を終えます。

そこで、この工場で働くからには、自分の中では避けて
通れなかったテーマについて、書いておくことにします。

ここは牛肉を加工する工場なので、当然、牛を殺しています。
そういう類の話です。
僕らの働いているフロアでは、少ないときでさえ、1日で
十数トン、多いときで20トン強の牛肉を出荷しています。
と言っても、数字だといまいちピンときませんよね。
スーパーの精肉売り場に行って、小さめのパックなら
500gくらい。大きめのならたぶん1kgくらい。
仮に10トン出荷したとして、500gのパックで言えば
2000個、1kgのパックなら1000個。
そういうレベルのオーダーです。

こんなに大量に、しかも毎日毎日、人間というのはよくも
まぁたくさんの肉を消費しているものだと、ここで働いて
つくづく思い知らされました。
そしてそのうち何割が、食べられることなく、ただ棄てられて
いることでしょうか…。

とにかく、毎日これだけの量の肉を絶え間なく出荷し続けて
いるということは、それだけ多くの牛を、毎日毎日屠殺して
いる、ということでもあります。

この工場に入る面接をパスした直後、一度だけ牛を解体する
工程の仕事を手伝ったことがありました。
以前このブログでも書きましたが、床は血の海、牛の内臓が
いたるところに散らばり、天井からは解体された牛の身体が
吊るされて、ラインを回っている。遠くには、回転のこぎりを
使って牛の皮をはいでいるのが見える。
それらが、まるで当然のことのように、一日中淡々と、絶え間
なく続いている訳です。それが、工場生産ということなのです。
聞いた話では、皮をはいでいた場所の近くには、首を落として
いる場所もあったのだそうです。
そこでは、切断された後の牛の頭部が、大量に並べられて
いるのだとか。
実際、そういう仕事をしている人はどんな気持ちだろうか。

ある日、珍しく仕事が早く終わり、確か3時過ぎくらいに
工場を出られたことがありました。
で、キャラバンパークの迎えを呼んで、帰ろうとしたとき。
工場に運び込まれる牛を大量に載せたトラックが、丁度
自分達の車と入れ違いになりました。

それも日本で見るトラックとは違って、よくハリウッド映画
とかで見るような、巨大なコンボイトレーラーです。
後部のキャリアは牛小屋と同じような柵状になっていて、
中からは牛の顔が覗きます。尻尾が、元気そうにピタンピタンと
はねているのも分かりました。しかも、かなりたくさんの尻尾が。

昔、自分の育った家は借家で郊外にあり、家の両隣が農家でした。
そのうち一方の農家が大家で、その農家では牛も飼っていました。
なので、動物が好きだった自分は、時々牛小屋に牛を見に行って
いましたっけ。
そこの牛は人懐っこくて、人が来ると近寄ってきたものでした。
餌がもらえると思ったのかもしれませんが。
ジッとこちらを見る目は優しくて、結構長い時間見てても
飽きなかったものです。

今こうして暮らすオーストラリアでも、ここは田舎なので
道路沿いに牛や馬、羊を普通に見かけることができます。
家畜が草を食んでいる様子って、どうしてこうものんびりした、
ほのぼのした気持ちにさせてくれるんでしょうね。
でも、最近はその姿を見る度、ほのぼのすると同時に
「あぁ、自分は彼らを毎日ミンチにかけているんだなぁ」
と思い出してしまいます。

こうして心が痛んでも。
それはただの「エセヒューマニズム」や自己陶酔かもしれず。
現実として僕は、肉を食べるのをやめることはしていないし。
ただ、思想上の理由で敢えてベジタリアンになる人の気持ちが
分かった気はしました。
それから、イルカやクジラ漁に反対するオージーの気持ちも。
でも、これらは生きることの現実であり、特に人間は食を文化と
してきたのも事実。それを誰も否定はできないでしょう。
他者を他者として尊重するなら、自分自身の考えを
表明することはできても、強要することはできないはず。

だから自分はせめて、出された食事はできるだけ残さず食べ、
食材はできるだけ無駄なく使うようにしています。それだけ。
たとえ人からどれだけ「Big eater」だと揶揄されてもね。

今自分の胃の中にあって、これから自分の身体の一部になろうと
しているたんぱく質の塊は、もしかしたら先週までは
のんびりと草を食み、愛らしく尻尾を振っていたあの牛の身体
かもしれないから。

そういえば、久しく「いただきます」と「ごちそうさま」を言って
なかったなぁ。
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■ Comment

いただきますって

大事な言葉ですよね。
私は小学校で働いていますが、子供たちは本当によく食べ残しをします。お腹が痛いと言ってるのを無理に食べさせるわけにはいかないので残しますが、残飯入れに入れられたたくさんの食べ物を見るともったいなくて涙がでてきます。
一年生に堵殺の話なんてできないけどさ…。

No title

ゆかりさん、こんにちは。
実は、ブリスベンの小学校でボランティアをしていた際、次の記事を書いています。
【滞在9日目】いただきますとごちそうさま
"http://hook0801.blog9.fc2.com/blog-entry-27.html"

もう10年位前になるかな、小学校で子どもたちに鶏をひよこから育てさせ、
最後には自分の手で育てた鶏を解体して食べる、という授業のドキュメントを
TVでみたことがあります。
小学校で、そうしたある意味残酷な教育をするべきか、という点で
賛否両論はあったものの、僕はそうした教育はすべきだと思いました。
年齢的には、中学校でも良かったかもしれませんけどね。
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プロフィール

T.Satoh

Author:T.Satoh


Tインフラ系エンジニア。
2年間のオーストラリアワーホリで
海外就労を経験後、日本で再就職。
将来は教育系ソリューションで
新規事業を手掛けてみたい。

※Twitter連携してます。
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