スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

映画「Iron Lady」を観て、かなり疑問。

映画「Iron Lady」(邦題:マーガレット・サッチャー~鉄の涙の女~)を観た。
日本では3月に公開予定なので、英語版ながら一足先に観れたことになる。
この映画は、年老いたマーガレット・サッチャーが、自身の政治家人生の過去、
特にフォークランド紛争とその後の首相辞任の頃あたりまでを振り返った、
回想録の形をとっている。

彼女が、首相在任中に多くの困難な改革を断行したことから、非難を
受けてきた苦悩はこの映画を通して充分理解できた。
特にフォークランド紛争への介入では、結果的にイギリスは勝利し
国民の支持は得られたものの、その決定をしなければならない局面とは
どれほどの困難であったことかと思う。
また、彼女の夫であるデニスが、彼女の心の支えになっていたであろうことも
よく分かる作りになっていた。
特に作品のラストでデニスが窓の向こうへ去って行くシーンでは泣いて
しまった。彼は、「鉄の女」サッチャーの、よき理解者であり、
味方となって彼女を見守る存在であったのだ。

それにしても、だ。
彼女自身はまだ存命中であり、重度の認知症を患っている状態と聞く。
それも、夫の死さえも忘れてしまう程の。
作中では、彼女が記憶のフラッシュバックや幻聴によって、結果的に
引き起こしてしまった奇異な言動についても多く描写されていた。
主演のメリル・ストリープの演技が凄まじかったことが、皮肉にも自分に、
ここに書いたような疑問を明確に意識させる結果となったような気もする。

それらの描写は、認知症患者の「リアル」を感じさせた。
そして、過去の政治家人生の回想は、しばしば現在の彼女にとって悪夢で
あるかのように描かれていた。

そこで気になったのが、認知症患者としての彼女を描く視点だ。
彼女が政治的局面において男性社会の中で奮闘する姿を、多少の皮肉を持って
(それは男性社会への嘲笑も含めて)、時に笑いを誘うように描かれていたが、
認知症の症状もまた、同様の描かれ方をしていたように感じた。
彼女の周囲の人々が、彼女の行動に困惑する様子もまた、リアルだった。
私は上映開始序盤から、そうした認知症表現への戸惑いを抑えながら観ていた。

彼女自身や彼女の家族にとっては、彼女の認知症は今現在の事実なので
あって、過ぎ去った過去のものではない。
それを、現時点で映画として完成し衆目にさらすというからには、
表現方法に関しても当事者への充分な配慮がされるべきだ。
でなければ、いたずらに彼女や家族の苦しみを刺激することになりかねない。
営利目的で公開される商業映画であれば、尚更のことだ。

なぜ本作が今作られなければならなかったのか、その理由をまだ理解できずにいる。

製作者は、彼女の苦悩や孤独を、単に現在の彼女の視点で描きたかったのだろうか。
もしそうだとしたら、それを敢えて、年老いて認知症となった彼女の視点からの
回想録とする必要はあったのだろうか。

それともその重度の認知症が、女性初のイギリス首相という過酷な職務のストレス故
だったということを、伝えたかったのだろうか。

マーガレット・サッチャーの自伝的映画、というなら、もっと別の表現方法が
あったのではないか、と思えて仕方がない。
もっとシンプルに、普通の伝記映画として製作されても良かったと思うし、
もしどうしても、「政治家としての」彼女だけでなく、私生活やその後の認知症と
なってしまった経緯も含めての、人生全体を描きたいなら、当然それは彼女の死後に
なされるべきだ。

例えば、私が以前に観たチェ・ゲバラの自伝的映画は本当に一切の脚色を排し、
さながらドキュメンタリー映画のように淡々とした作りになっていた。
それは、物語としてみた場合、あまりにもドラマがなく平坦ではあったものの、
彼の人生がどのようなものであったかを観客に伝えるのには、相応しい手法に思えた。

おそらく彼女の人生は、彼女の職務とは切っても切り離せないものだろうから、
「政治家であった」ことと、「認知症である」ことを切り離して考えるのは、
ナンセンスなのかもしれない。もし現在の彼女でなく、健全な状態であった頃の
回想録として作ってしまったら、それは認知症となってしまった現在の彼女を
否定することになってしまう気がするからだ。

こうして考えていくと、単に観客の同情を得やすい題材として、認知症の彼女と既に
亡くなった夫を選び、ただ安易に涙を誘うドラマとして仕立てられただけではないか…
と疑いたくなってしまう。
これでは、現在も生きている彼女とその家族に対し、非常に失礼だと思うのだ。
他人の苦しみをネタにして観客の興味を惹き、利益をあげている訳だから。

ただし、自分の英語力不足による、細かな機微の理解不足も考えられなくはないので、
日本で公開されたら改めて観てみたいと、今は思っている。

後から気になって色々調べていたら、下記のようなニュースを発見。
家族の想いはどんなものだろうか…。

 http://news.livedoor.com/article/detail/6174849/
 http://www.cinematoday.jp/page/N0037937
スポンサーサイト

テーマ : 映画館で観た映画
ジャンル : 映画

■ Comment

非公開コメント

プロフィール

T.Satoh

Author:T.Satoh


Tインフラ系エンジニア。
2年間のオーストラリアワーホリで
海外就労を経験後、日本で再就職。
将来は教育系ソリューションで
新規事業を手掛けてみたい。

※Twitter連携してます。
 ブログ更新履歴は
@ho_okがつぶやきます。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
FC2カウンター
Thank you for your access.
最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
リンク
RSSリンクの表示
QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。